part6。
前回↓
人生を変えたジャンルpart6。
今回のテーマは「本好きの下剋上」
香月美夜作の小説家になろう発*1の本を題材とした異世界転生モノだ。
異世界転生というジャンル自体は好き嫌いが分かれがちなジャンルで、(その理由は後述する。)私自身もあまりこのジャンルの作品には興味を示さなかったが、アニメが放送されてからどっぷりはまってしまった。
あらすじ
本が大好きな大学生本須麗乃は図書館司書としての就職が決まったある日、地震によって本に埋もれながら亡くなってしまう。
「来世でももっと本が読めますように。」そう願いながら麗乃は町娘マインとして異世界に転生する。
しかし、マインとして転生した世界は識字率が極端に低く、本はあっても貴族などといった上流階級の人達にしか読むことができない世界だった。
本が手に入らないことを嘆くマインは、本を読むためにあることを思いつく。
それは「本が無ければ作ればいい」ということだった。
異世界転生というジャンルについて
いつものようにジャンルとの出会いについて語ろうと思うが、
まずはじめに異世界転生というジャンルについて簡単に説明しようと思う。
異世界転生とは、平凡な日常を送っていた主人公がある日不慮の事故にあい(トラックにひかれるパターンが多い。)、別の世界へ飛ばされ(中世ファンタジー風の世界観であることが多い。)そこで冒険したり、仲間を増やしたりしながら充実した生活を送るというジャンルが多い。(最近のアニメをあまり見ないので実際その辺詳しくないのでよく分からないが。)
そしてこの異世界転生というジャンル。好き嫌いが分かれるジャンルとして有名である。
その理由として代表的なのが「主人公のチート能力」
異世界転生というジャンルの多くは不慮の事故で亡くなったという罪滅ぼしにと主人公に対し来世で生きやすくするために何らかのチート能力を与えられるパターンが多い。
そのチート能力というのが作品によっては少々やりすぎなところもある。
というのも主人公がチート能力のせいで、異世界で暮らす住民以上に強くなりすぎて無双してしまうパターンが多い。
それ故に見ていて「またこのパターンか」って思う事もあるし「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」という印象を与えてしまう。
実際、私がかつてブログにて紹介した異世界スマホこと「異世界はスマートフォンとともに。」なんかはスマホ依存症の主人公がスマホよりもチート能力に頼りがちになってしまい、「スマホいらなくね?」って思ったぐらいでもある。
また、異世界では現実世界での常識に対してしばしばギャップが生じることがある。
ある作品では木の上に腰かけただけで「何やってるの?」と尋ねるキャラクターに対して主人公が「何って、腰をかけただけなのだが?」と返し、それに対して「すごい!よくこんなこと思いつくね!」みたいな展開があるらしい。(あくまでらしいなので詳しくは知らないが)
そして異世界とのギャップを感じる度に「また俺なんかやっちゃいました?」と主人公が思うパターンが多い。
そして、なろう作品は誰でも小説を投稿できることから表現技法がやや低俗的な印象があり、しばしばネタにされる。
代表的なものをあげるとするならば主人公が「黙れ」と一言発しシュールな絵面に合わせてドン!という効果音が印象的な「物理さんで無双してたらモテモテになりました」(コミカライズではあるが。)
剣が交わるバトルシーンを「キンキンキンキン!」という独特な効果音で表現する「無職の英雄」などなど……
こういった例もあってかなろう作品や異世界転生はどうしても好き嫌いが分かれがちなジャンルになってしまう。(実際なろう作品エアプなので変に多くは語らないが。)
本好きの下剋上との出会い
異世界転生について色々言うのはこの辺にして、ここからはいつものように本好きの下剋上との出会いについて語っていく。
私が本好きの下剋上と出会ったのは2019年の10月である。
天皇の即位に伴って突然できた中日を挟んだ4連休によって私は東京へと行くことに決めた。
この旅行では池袋にある「ポケモンセンターメガトウキョー」*2を訪れることを目的としていて、それから空いた時間で秋葉原へと向かおうと考えていた。
そしてメガトウキョーへ行くついでに訪れたのが秋葉原の末広町近くにあるシャッツキステである。
Webサイトを見てもらうと分かる通り、秋葉原にある所謂「メイド喫茶」*3としての店舗形態での営業を行っているこのお店だが、
私設図書館と銘打っているだけあり店内にはメイドさんが持ち寄った本が置いてあり、自由に読むことができる。(漫画やライトノベルなどといったものから設定資料集などその幅は広い。)
また、店内はかなり静かで、(メイド喫茶という形態ではあるが)喫茶店のような落ち着いた雰囲気があるお店なので興味があったら一度行ってみるといいだろう。(もちろんメイドさんも可愛い。)
そんなシャッツキステさんが11月に本好きの下剋上とコラボをすることになって、
その当時は「なんかよく分からんアニメとコラボするんだ。」と思っていた。
しかし、シャッツキステを訪れた方のツイートを見た際、私は本好きの下剋上のあらすじに興味を惹かれた。
そこからNetflixでアニメの1期を全部見てどはまりしたというわけだ。
なぜ本好きの下剋上にハマったのか。
そんな本好きの下剋上は異世界転生に対するイメージを大きく払拭した作品だった。
はまった理由として「文明の利器のすごさを改めて実感させられる内容」であることだ。
物語の大まかな流れとしては本を作ることをメインに話が進むわけなのだが、
本が庶民の手に届かない世界という事もあり印刷技術とかは存在しないわけで、
どうするかというと紙の原料を作るところから話が始まる。
例えるならばラーメンを作ると言われて「作るってどこから?小麦から?」というレベルの事から始まる。
そんなわけで本を作るための紙となる原料を求めるわけなのだが、とにかく色々試す。
粘土から粘土板を作ってみたり
木から木簡*5を作ってみたり……
ありとあらゆる文明の利器を活かして本を作るための材料を得ようとする。
それを見るだけでも改めて「本が作るということが大変な作業」であるという事が分かる。
今でこそ書籍と言った紙媒体というのは電子化が進んでいたりして、誰でも手軽に読める環境ではあるが、
それも印刷技術の発展や情報通信技術の進歩の賜物であり、一から紙を作り、本を作るとなると改めて「文明の力ってすごい」と思い知らされる。
そして、もう一つのポイントとして「本から得た知識量がすごい」ということ。
マインの前世である本須麗乃は本が大好きというだけあり色々な知識を持っている。
心理学、宗教、歴史、地理、教育学、民俗学、数学、物理、地学、化学、生物学、芸術、体育、言語、物語……(本文より引用)
それもあって、本作りにおいては前世の知識からあらゆる文明の利器を利用することになる。
チート能力で無双する作品とは異なり、この作品は前世の知識を引き継ぐという形でやや無双気味になりがちだったりするが、チート能力が何の努力も無く得られていることを考えると、この前世で得た知識というのは本須麗乃としての努力がマインが本を作るための大きな力となっており、(チート能力で)ただ無双するだけの作品より受け入れることができた。(ただ、二部以降の展開はだんだんなろう作品っぽくなるらしいが。)
本好きの下剋上は異世界マイクラ
そんな本好きの下剋上を一言で表すとすれば、ずばり「異世界マイクラ」である。
Minecraftといえばブロックを積んだり、壊したり、集めたブロックでアイテムを生成したり……
何もないところからものを作って開拓する。その面白さがマイクラの魅力だ。(私自身が最近香川県の条例*6を遵守したうえでマイクラをやっているからそう思ってしまうというのもあるが。)
この本好きの下剋上もマインが本を作るだけでなく、色々なものを作っては下剋上をしていく。
そこにものを作るということの楽しさを感じ取れる作品だと思う。
異世界で何もないところから本を作り、そしてマイン自身もどんどん成長していく。
そんな姿に私は「異世界転生というジャンルは中世ファンタジーの世界観で剣と魔法で戦うだけではない。」というイメージを変えてくれた。
そんな本好きの下剋上は4月4日よりアニメ2期が放送中。Netflixでは今日からアニメ2期の配信が開始される。暇があったら是非1期から見よう。
原作↓
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ https://ncode.syosetu.com/n4830bu/ #narou #narouN4830BU
付録
人生を変えたジャンルpart6では本好きの下剋上を紹介するのですが、少し質問したいことがあります。
— piraさん (@pira365) 2020年4月1日
皆さんは異世界転生というジャンルは好きですか?#人生を変えたジャンル
本記事を書く前に異世界転生に関する調査を行った。
好き嫌いが多いと言われがちなジャンルだが、意外にも好きな人が多いという結果になった。
私自身最近のアニメにそこまで詳しくないので異世界転生に対してマイナスなイメージを持っていたというのもあると思うのだが、びっくりしている。
*1:小説家になろう:小説投稿サイト。本好きの下剋上のように本サイトから書籍化やアニメ化した作品が多い。代表的な作品として「Re:ゼロから始める異世界生活」や「君の膵臓を食べたい」などがあげられる。
*2:ポケモンセンター:ポケットモンスターシリーズに登場する同施設を題材とした、ポケモンの関連商品を販売するオフィシャルショップ。ポケモンセンターメガトウキョーはポケモンセンターの中でも最大規模の広さを誇る。
*3:メイド喫茶:店員がメイドのコスチュームを着て営業を行う喫茶店。お客様はメイドに対するご主人様またはお嬢様という設定で店内を過ごす。日本の萌え文化の一つとして象徴的であり、海外からの来客も多い。
*4:パピルス紙:古代エジプトで使用された紙。制作にはかなりの人手と日数を要した。
*5:木簡:中国や日本で使われた短冊状の木の板。
*6:香川県の条例:香川県が4月1日に制定した子どものネット・ゲーム利用を制限する「ネット・ゲーム依存症対策条例案」のこと。子どものネット・ゲーム依存を防ぐため、利用時間を平日60分、休日90分に制限することを定めている。